
山梨大学大学院 医学工学総合研究部
工学学域 社会システム工学系
准教授
工学博士 岡村 美好 氏
2008年 ユニバーサルデザインコーディネータ2級資格取得
2010年 ユニバーサルデザインコーディネータ準1級資格取得
【専門分野】
土木工学、福祉工学
数年前に母が股関節の手術をした際に、車椅子を押して介助する機会がありました。私は大学で土木系の学科の教員をしているのですが、自分が介助する立場になってみると、私が直接作ってきたわけではないにしろ、道や建築物などを扱う同じ分野の人間として、なんて使いにくいものを作ってきたんだろうと驚き、情けなくなりました。
そのときの経験からバリアフリーに興味を持ち、その先のユニバーサルデザインにも興味を持って、色々自分で勉強し始めたのがきっかけです。
講座の前半では、ある程度自分が勉強してきたことがそんなにずれていなかったんだなという、確認ができました。
講座の後半の方になってくると、 色々な手法(※1) であるとか、もうちょっと深い所もあるんだということを発見しました。
【解説: 色々な手法(※1) とは?】
ユニバーサルデザインを実現するための技術としてのユニバーサルデザインエンジニアリング技法として、「ターゲットペルソナ」「UD訴求理念」「UD目標の数値化・明文化」「希望・制約リスト」「UD検証調査」「UDアプローチ」等があります。
とても面白いです。2級の時は3日間集中だったので、何か消化する間もない印象でした。 準1級(※2) では、耳を傾けられ、漠然としていたものが具体的に見えてきた、という感じがありますね。
ようやくここへ来て、そういう事だったのか!という感じです。まだ理解しきれていないと思いますし、忘れていることもあるでしょうけど。色々と役に立つことも多いです。
【解説: 準1級(※2) とは?】
少人数制で1日6時間で1科目が学べます。
私は工学部に所属しているので、色んなものを作る事に関わってはいるのですが、ユニバーサルデザインは 物だけじゃなくて(※3) 行政とか組織とか色んな所にも関わってきます。これまでとは違った分野のことを学ぶのも面白いし、ユニバーサルデザインに出会えて本当に良かったと思っています。
【解説: 物だけじゃなくて(※3) とは?】
ユニバーサルデザインは物の形や形状だけでなく、制度や組織形態に関わるものも対象です。
色んなものに「効いて」くる。…というのでしょうか。
以前は研究室にこもって何かやってるという感じだったのが、ユニバーサルデザインをやると色んな人と会う必要が出てきて、色んな人と出会えたことも良かったことの一つです。
準1級の講義でもありましたが、 自分の生き方との関わりがある(※4) のも面白いところで、ユニバーサルデザインを学んできたことで、すごく自分の世界が広がってくというのを感じていて、面白いと思います。
【解説: 自分の生き方との関わりがある(※4) とは?】
通常は製品開発等のために作成する「UDヴィジョン」ですが、人生や転職など、生き方に関わるところで活用する方も増えています。
2級を受けて、その後準1級の勉強をしながら、 色んな実践方法(※5) というものを学んできましたから、家の中や、職場の中で、なんだかちっとも片付かないような、漠然とした課題を、こういった実践手法を使うことで一つずつ着実に片付けられるようになってきました。
【解説: 色んな実践方法(※5) とは?】
部屋の片づけは通常、人の問題として考えられていますが、ユニバーサルデザインコーディネータは、散らかる場合は、「片づけ方が人に合ってない」と捉えます。このように捉え、収納場所等の工夫をすることで、自然と片づける環境を整えることができます。
それがユニバーサルデザインに取り組んでよかったことです。
例えば、準1級を受けて、大学の授業で使う資料の「提供の仕方」や「表現の仕方」を、今年は去年と変えてみたところ、大学で行う学生による授業評価が、去年より高くなりました。
そして、学生から「資料が分かりやすかったです」という反応をもらえることが増えました。さらに、学生からの提出物も、以前よりも良くなってきました。
教員が作成する資料は、なんとなく提供する側の独りよがりになってしまう所がありますよね?
何となく漠然と作っていた授業の資料なんかも、 認知科学の「概念モデル」とか、ユニバーサルデザイン視点の「ヒューマンエラー」とか(※6) 色々検討すると、違ってきます。もうちょっと、ここの順番を変えたり、こういう表現に変えたほうが、分かりやすいだろう、誤解を招かないだろうというのがわかるようになったので、その辺は大きな成果だったかなぁと感じています。
機会があれば、実践まで行かなくても、基礎的な部分は、誰でも知っていたほうが良いの
ではないでしょうか。
【解説: 「UD視点の認知科学」「UD視点のヒューマンエラー」(※6) とは?】
従来の学問分野でユニバーサルデザイン実現のために有用な部分を抽出し、足りない部分を補った、UDコーディネータ用の独自の科目です。
準1級の自由科目として受講が可能です。